朝は母親が「いってらっしゃい」と玄関まで見送ってくれて、学校から帰ると、パートから戻って夕飯の支度をしている母親が出迎えてくれる。
そんな環境で私は育ちました。
当時の私は、それが当たり前のことだと思っていました。
実際、私以外の姉妹たちはパートで働きながら、子どもの成長を見守り、家事もこなす生活を送っています。
でも現実は、思い描いていたようにはなりませんでした。
離婚をきっかけに、私はパートから正社員へと働き方を変え、朝から晩までなりふり構わず働いて、家事もこなす日々。
友人たちからは「いつも働いているね」と、少しあきれたように言われることもあります。
時々、「どうして私だけがこんな目に合うんだろう」と、ぶつけようのない悔しさに襲われることもありました。
私の目に映るまわりの人たちは、余裕があって穏やかに暮らしているように見えて、羨ましく感じたこともあります。
でも、子どもが大きくなった今、思うのです。
あのときの頑張りがあったから、今の自分があるんだと。
悔しかったあの日々があるからこそ、人の痛みが昔の自分と重なって見えて、優しくなれる。
その経験が、きっと私を少し成長させてくれたのだと思います。
それは、あとになって初めて気づけることだけれど、やっぱり「その瞬間」を大事に生きていきたい。
苦労の先に、ご褒美があると信じて。
